茶論―工芸を元気にする一切り口

物販、喫茶、教室を展開する「茶論(さろん)」

 中川政七商店グループの道艸舎(みちくさや)の新ブランド「茶論(さろん)」が日本橋髙島屋S.C.新館4階にオープンした。
 「以茶論美(茶を以て美を論ず)」がコンセプト。ブランドディレクターに芳心会を主宰する茶人の木村宗慎氏を迎え、茶道の新しい楽しみ方を教室や道具類で提案する。2018年4月の奈良「遊中川本店」内1号店「茶論奈良町店」に続く2号店だ。54.5平方メートルの同店は、入り口付近で茶道具を展示、右側が喫茶(6席)、奥がテーブルスタイルの教室となっている。

鈴木啓太氏デザインの茶道具箱と道具

 同店スタッフがセレクトした60~70年代生まれの陶芸家、伊藤環氏、辻村唯氏、二階堂明弘氏、藤田佳三氏など現代作家の茶碗や振出しなどの陶器のほか、店内装飾としての役割も果たす清朝の骨董品などの木村氏のセレクト品、国産の茶筅、茶杓など、すべてがそろう。またオリジナルの茶道具箱は鈴木啓太氏デザイン。茶碗を中心に据え、道具一式が収まる。蓋は茶筅用に1部が分割できるものや1枚のものがあり、漆蓋の色も含めて好きな組み合わせを選べ、茶碗を含めた一式で価格8万円程度から、家置きの茶道具箱として提案するものだ。

物販スペースと茶道講師の町田氏

 茶道教室は午前10時30分~午後9時までの1日4回開催で、ウェブで予約するスタイル。各回最大8人、チケット制。全6回の初級稽古「お茶を美味しく淹れる・点てる」、同中級稽古「お茶でもてなす」などからなり、奈良、日本橋の両店が利用できる。「所作を身に着けたい」「美味しくお茶を点てられるようになりたい」など、それぞれの目的に合わせた稽古をカリキュラム化、1年間以内であれば、週1、月1ペースと自分のスタイルに合わせて受講できるのも魅力。各回最大8人の定員は、土日はほぼ埋まる。「現在の会員数は約300人。茶道初体験者から昔習っていたという人、年齢は20歳代女性会社員から60歳代の主婦と幅広く、さらに両店を利用する人も」と同店の稽古講師を務める町田あかね氏は話す。
 同社広報の源内礼氏は「入り口を広くし、茶道の面白みを伝えていくこと、これも日本の工芸を元気にする切り口のひとつ。店舗展開することで産業観光にも繋がっていくと考えている。日本橋店の顧客を奈良店にお連れする企画も計画したい」と語った。

茶論日本橋店(中川政七商店グループ)
住所:東京都中央区日本橋2-5-1 日本橋高島屋S.C.新館4階
電話:03-5542-1144
WEB:https://salon-tea.jp/