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    映画「ちゃわんやのはなし ―四百年の旅人―」が5月18日から上映

     薩摩焼の陶工・沈壽官(ちんじゅかん)家の歴史とともに、日本における陶芸文化の発展と継承の過程をひもとくドキュメンタリー映画「ちゃわんやのはなし ―四百年の旅人―」が上映される。

     豊臣秀吉による朝鮮出兵(文禄・慶長の役)は、帰国の際に連行された朝鮮人技術者らによって日本の窯業が急激に発展したことから「やきもの戦争」の名称でも知られているが、薩摩産出の土を用いて作られた「薩摩焼」は独自の発展を遂げ、1867年(慶応3年)に出品したパリ万博では賞賛され、ヨーロッパをはじめ世界中に「SATSUMA」の名をとどろかせた。

     初代沈壽官は、2度目の出征の際に連行された技術者の一人で、以来420年以上にわたり、薩摩焼の技法や文化を絶やすことなく継承してきた。同作では15代目沈壽官氏をはじめ、上野焼・渡窯12代目渡仁氏、萩焼・坂倉新兵衛窯15代目坂倉新兵衛氏、薩摩焼研究者・深港恭子氏、そして韓国の陶工らへのインタビューを中心に、薩摩焼や日本のやきものがどのような歩みを経て発展してきたか、朝鮮にルーツを持つ作り手の葛藤や苦悩などが描かれている。長い歴史の間、日韓関係は複雑に絡み合い、生きてきた時代や世代によって互いに対する印象、抱く感情は異なるだろう。薩摩焼をはじめとする陶芸文化を通して、今見つめ直すべき日韓の歴史、伝統の継承とは何かを浮かび上がらせる。

     監督は同作が長編映画デビューとなる松倉大夏(だいか)氏、企画・プロデュースは「月はどっちに出ている」「健さん」などを手がけた李鳳宇(りぼんう)氏。5月18日より東京「ポレポレ東中野」「東京都写真美術館ホール」ほか全国で順次公開予定。上映館の詳細は公式サイトで。

     映画公開に先駆け、トークイベント付き特別試写会が4月22日、東京・四谷の駐日韓国文化院ハンマダンホールで行われた。ラジオパーソナリティなどでも活躍するフリーライター・武田砂鉄氏をゲストに、企画・プロデュースの李鳳宇氏、監督の松倉大夏氏が出席し、この映画に込めた思いや、映画製作の裏話などを語った。その様子は、同映画の企画・製作・提供を行ったスモモのサイトでも紹介されている。

    駐日韓国文化院ハンマダンホールで行われたトークショー。左から企画・プロデュースの李鳳宇氏、監督の松倉大夏氏、フリーライターの武田砂鉄氏
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